なぜRX100M7とGR3は人気なのか?専門家に直接聞いてみた
目次
やはりカメラは専門家に聞きたい!ということで、今回はカメラ販売店の激戦地である
新宿駅西口に行き、販売員さんにコンデジ事情について話を聞いてきました。
先に結論から言うと、売れ行きも含めて販売員さんが選んだコンデジは
「SONY RX100M7」と「RICOH GR3」&「RICOH GR3x」の3機種。
なぜこの3機種が選ばれたのかをじっくりと掘り下げていきます。
また、これを読めば、カメラの特性やポイントがわかりますので、
今後のカメラ選びにきっと役に立つはずです。
コンデジ各機種のポイント。
尖った機能が差別化に
今回取り上げる機種は、前回お届けしたプロフォトグラファーの
西田航(にしだ・わたる)さんがYouTubeチャンネル「Wataru Nishida 西田航」で
紹介されている4機種と「Rentryはるみchannel」で紹介されている2機種となります。
前回の内容は以下となります。
https://swamper.jp/camera/camera/compare/16386/
各カメラの詳細なスペックはオフィシャルサイトなどを参考にしてもらえればと
思いますが、簡単な特徴としては以下の通りです。
①SONY RX100M7(市場価格 約13〜14万円)
・24〜200mmのレンズ
・α9(プロ向けミラーレスカメラ)と変わらないオートフォーカス機能
・約300gという重さ
②Canon SX740 HS(市場価格 約5万円)
・960mmという驚くべきズームが可能
③RICOH GR3(市場価格 約9〜10万円)
・センサーがAPS-C(フルサイズの1つ下という位置づけ)
・スナップショットに特化していること
④RICOH GR3x(市場価格 約11万円)
・スペックはGR3と同じだが、レンズがGR史上初の40mm
・質感の美しさがずば抜けている
⑤Canon PowerShot G7 X Mark II(市場価格 約7万円)
・スマホを触る感覚で操作できる
・Wi-Fiに接続すればライブ配信が可能
・F値1.8なので暗いところでも撮影が可能
⑥Panasonic LUMIX DC-TX2(市場価格 約8〜9万円)
・フィルターが豊富で、おしゃれな写真を撮りやすい
・24mm〜360mmまでの高倍率ズーム
・マクロモードで3cmの接写が可能
機能性万能なRX100M7。
誰もが支持するコンデジ
では一体、販売されている現場では何が一番売れているのか? どういう機能が
支持されているのか? 複数の量販店で店員さんに話を聞いたところ、
冒頭でもお伝えした通り、現在の売れ筋はRX100M7とGR3&GR3xの3機種。
いずれも用途が違い、まずは大本命であるSONY RX100M7から
触れてみたいと思います。
すべてに共通していたコメントが「機能が万能」ということ。
M7という名称の通り、RX100はM1から進歩してきた歴史があり、
M3からレンズが24-70mmに、M4からシャッタースピードが1/32000秒、
連続撮影速度が約16コマ/秒、動画撮影で4K/Full HDとなり、
M5は世界最速0.05秒の高速AF、最高約24コマ/秒の高速連写、
M6は24-200mmに対応し、M7はマイク端子が付き動画も撮影しやすくなりました。
VLOGカメラとして有名なZV-1もありますが、写真の機能まで考慮すれば
当然RX100M7に軍配が上がります。
西田さんや販売員さんが絶賛しているのが、超高速・超高機能のオートフォーカス(AF)。
私も実際に手に取って試したところ、モニタ画面のピント表示が
まるで生き物のように被写体に追いつき、逃しません。
その上、高速連写ができるため、確実に“正解の1枚”を導き出せます。
当然、AF機能は動画にも活かされるので、自撮りやカメラマン不在の撮影も問題なし。
また、カメラ好きに刺さるポイントとして、レンズがCarl Zeiss Vario Sonnar
(カールツァイス製のバリオゾナーというレンズ)という点も信頼性を高めています。
プロ品質に耐えうる高機能な写真、動画という観点から、RX100M7が
人気を集めるのも納得です。
SONYのデジカメの知見が凝縮されたような機種となっており、
コンデジとしての死角は見当たりません。
続けて、Canon SX740 HSは、やはり脅威のズーム機能です。
レンズは24〜960mmであり、はるか遠くにある被写体も撮影が可能。
もし、960mmのレンズ交換をするのであれば、場合によってはバズーカの
ようなものを用意しなくてはなりませんが、それをポケットサイズで実現しているのは
驚くべきことです。4K動画にも対応し、手ブレ補正も実装されているので
動物などの撮影にも最適。価格も他機種と比べて安価なのも魅力的です。
写真撮影に特化するGR3。
スナップシュートの王様
そして、RX100M7と市場の人気を二分しているのが、GR3&GR3x。
私は旧機種のGR2を所有しており、どうしてもひいき目になってしまいますが、
ある販売員さんも「私もGR3xを買いました」と話していました。
内蔵するNDフィルター(光量を減少させる機能)を使った滝の写真を
見せてもらいましたが、非常にキレイな1枚となっていました。
GRの特徴を説明すれば、自ずと“RX100M7との違い”が浮き彫りになり、
いずれも共通していたのが、GRシリーズに受け継がれてきた仕上がりの美しさと
“キング・オブ・スナップシューター”と言われるコンパクト性、速写性。
元々、ストリート撮影を得意とする多くのプロカメラマンから絶賛されてきた歴史があり、
ポケットから取り出して即シャッターを押し、一瞬を切り取るという点において
GRは絶対的な地位を確立していました。マイナスのポイントとしては、
写真撮影に特化しているため、それ以外の機能が弱いということ。
いわば頑固な職人のようなカメラ。だからこそ、こだわりの強いクリエイターから
支持されてきた背景があり、なんでもこなせる万能型のSONY RX100M7とは
対照的というわけです。
GR3とGR3xは、前述したようにレンズが28mmと40mmという違いだけで、
外観や重さもほとんど変わりありません。ただ、28mmの場合、「今だ!」って
思ったときでも、2〜3歩前進しないと思い通りの構図が撮れない感覚があり、
そういう意味ではGRシリーズ初の40mmは興味深いと思います。
ちなみに両者の売れ行きについてはほぼ同じくらいだそう。
購入者はセカンド機としての2台目というケースも多く、
すでに一眼やミラーレスを所有し、ある程度本気でカメラに取り組んでいる人が
多いようです。
RX100M7とGRがコンデジ市場で競っているというのは趣味嗜好の違いが
顕在化しているということでもあり、おもしろい結果になっていると考えます。
RX100M7とGR3では、RX100M7の方が高価なので、多くの機能を求めると
RX100M7になりますし、「写真だけでいい」という方はGR3になるようです。
ちなみに持った感触も違い、GR3は手にすっぽりと収まる感覚がありますが、
RX100M7はアルミの削り出しのような触感のため、思わず落としそうになります。
そのため販売員さんによれば「ほとんどの方がグリップを付けます」とのことでした。
そして、最後にPowerShot G7 X Mark IIとLUMIX DC-TX2については、
やはりRX100M7とGRに比べて売れ行きも芳しくないことからコメントも少なめ。
PowerShot G7 X Mark IIは前述したように動画配信が可能なこと、F1.8という
レンズが魅力的で、LUMIX DC-TX2は360mmのズームが評価ポイントでした。
次回は「新品vs中古」を深掘りしたいと思います。
お楽しみに!
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