ポートレート撮影が確実にうまくなるテクニック動画5選。これでビギナーを卒業!
目次
被写体の魅力を引き出す撮影テク。ちょっとした違いがクオリティを上げる
「ポートレート撮影のテクニック動画5選」と題して、人物撮影をする際に使えるテクニック動画5つをピックアップしました。
構図や光の使い方など基本的な技術から、レベルアップのためのちょっとしたコツ、映画風に撮影するための技術など、見れば確実にタメになる内容となっています。
まずはトラベルフォトグラファーである「もろんのん」さんの動画。
実際にモデルを撮影しながら、注意すべきポイントを解説しています。
まず大切なのは事前準備。撮影前からしっかりとテーマを決めておくことで、モデル側もコーディネートを選びやすくなり、当日の撮影もスムーズに行うことができます。
そして、イメージをモデルと共有できたら服装の指示をします。今回の撮影場所は神社のため、鳥居など赤系の色が多くなります。そのためモデルには赤系の色を避けてもらうよう伝えておきました。
動画では、もろんのんさんが「空を見上げるように」と指示するなど、テンポよく進めていきます。
さらにコミュニケーションを取りながら、笑いも交えることで、より自然な表情を引き出します。
小道具としてキャップをかぶってもらい、続けて動きを指示。ポートレートでは、バリエーションを増やすことが大切です。もろんのんさんは「手につかみやすい何かを持ってもらい、それに合わせた仕草をしてもらうことが多いです。バリエーションが増えるのでおすすめ。その場の雰囲気を和ませてシャッターを押すことも多いです」と語ります。
続けて、撮影者の目線の高さに言及し、「高い」、「被写体と同じ」、「下から」と使い分けることで、まったく仕上がりが違った印象となるとのこと。
「子どもや動物などは高いところから撮影するとかわいらしさが出ます。今回は“仮想の彼氏”として撮影しました。女の子をかわいく撮るには、上から撮ることで小顔効果も出せて、盛れます」
「同じ高さから撮ると、友達くらいの距離感で撮ることができます」
「下から撮ると、被写体を壮大な感じで撮ることができ、かっこよく表現できます。しかし、アゴやお鼻の穴も映ってしまうので、撮影時はアゴを引いてもらうようにお願いをしています」
続けて「抜け感」(背景とのバランス)について。もろんのんさんはトラベルフォトグラファーでもあるため、場所の雰囲気も伝えたいと意識しているとのこと。写真がフラットな印象にならないよう、被写体に横を向いてもらいつつ、背景の雰囲気もわかるように立体感ある仕上がりにしました。
絶対に気をつけてもらいたいポイントが、「目刺し」、「頭刺し」、「首切り」の3点。背景の木が目が刺さるような構図、背景のものが頭部に刺さるような構図、首で体が切れてしまうと生首のようになる、など注意が必要です。
最後にまとめとして、下記のように締め括っています。
<事前準備のポイント>
①イメージのすり合わせ
②服装のすり合わせ
<撮影中のポイント>
①光
②抜け感
③高さ
④指示出し
⑤3つのNG項目
人物撮影が上手くなるポイントはたったの3点。光をよくチェックしよう!
続けて2つ目の動画は、プロカメラマンのさるさんによるもの。
撮影する上で、意識したら上手くなる3つのポイントを紹介しています。
①光を目で見ることを意識する
モデルに立ってもらい、いきなり撮影をするのではなく、まずはその場所の光をしっかりと観察することが大切。光が当たっているところをよく見て、逆光、順光、サイド光なのかを検証します。光をちゃんと見るようになってから「初心者の状態から一段上手くなりました」とさるさんは語ります。
特に逆光では、スマホは暗くなりますが、一眼などでは露出補正でプラス1〜2段階上げることで“エモい写真”を撮ることができます。さるさんは「写真を撮るのが10倍以上楽しくなった」と言うように、効果は大きいでしょう。
②ボケはどれだけあった方がいいかを考える
可能なら単焦点レンズでF値をF2、F1.8まで下げ、ボケさせると撮影も楽しくなります。ただ、F値を1.8くらいにすれば当然のようにボケますが、果たしてそれが正しいのかを考えてみることも大切。例えば、被写体の後ろに東京タワーがあった場合、F値を下げすぎてしまうと、まったく背景がわからない状態になります。ほどよい数値で背景もわかるように見せるといった調整も重要です。
③カメラを構える高さを考えてみる
目線を変えるだけで表現が非常に変わります。さきほどのもろんのんさんの動画でも語られていたように、女性を高い目線から撮影するとかわいく表現することができます。一方、下から撮るとかっこよく撮れますし、同じ高さだと友人のような距離感を出すことが可能です。また、風景も低いアングルから撮影すると景色が伸びるイメージになり、撮影が楽しくなること必至。今すぐにでも実践できるため、即上達を感じられるはずです。
“光の魔術師”が守るマイルール7つ。NGを避けることでハイクオリティな写真に
3本目は当サイトでもお馴染みの“光の魔術師”ことイルコさんの動画です。「ポートレート撮影で絶対にやらない7つのこと」と題して、NGな撮影方法を解説。いわば、そうしたNG撮影を避けるだけでいい作品に仕上げられるということです。
イルコさんは「小さなルールを守ることで写真のレベルが上がる」と自身のこだわりについて話しています。
①背景の水平線を斜めにしない
・被写体の背景に映る海や川などの水平線がはっきりしているときは、絶対に被写体に対して斜めにはしない。何かしらの理由がなければ、基本的にはやらない。
②構図において、被写体の指先を切らない
・場合によって指が切れてしまうこともあるが、基本的にはやらない。
③構図において、被写体の関節から切らない
・重要なポイントであり、ヒザやヒジ、手首から切らないようにする。そのため、下半身の場合はふくらはぎから切ることもある。
④構図において、背景の線が被写体の首にかかるようにはしない
・背景の水平線や長い線が被写体の首にかかっていると、そこに目がいってしまう。もし入れるとしたら、線が首のラインから下になるように、もしくは頭部よりも上になるような構図にする。
⑤被写体を端に置かない
・構図に安定感がない。
⑥端に明るいものを入れない
・例えば、夜間撮影において、画角の両サイドに光があれば、そちらに目がいってしまう。もしそうした光が入ってしまったのであれば、後にフォトショップで消すか、トリミングをして消すこともある。
⑦撮影中にネガティブな発言をしない
・一番大切なルール。撮影がうまく進行せず、もし撮影者が嫌な感情を顔に出せば、被写体は自身のせいだと思ってしまう。仮にピント、露出が合っていなくても被写体に伝える必要はまったくないし、自分で解決すればいいこと。何があってもネガティブな言葉は使わない。
以上7点がイルコさんが実践しているポイント。構図の違和感を徹底的に排除することが大切だとわかりました。また、ネガティブな言葉を使わないといったメンタルに関わることも重要というのは非常に興味深かったです。
一度は撮ってみたい映画のような写真。キモになるのはストーリー性
4つ目は「映画のようなポートレート撮影」のテクニックです。
オールドレンズやフィルムカメラを紹介するブログを運営しているHironさんの動画となります。
結論としては、ストーリー性のある作品が映画のような写真となるため、重要なのは撮影までの事前準備。Hironさんは事前準備をしていなかった作例を紹介しながら、「目的もない、ただ撮影した感じになってしまった」とコメントしています。
「簡単にストーリー性を持たせる」ためには、「ロードムービーにする」のがいいとのこと。
目的地への移動という過程をあえて出すことにより、ストーリー性が生まれます。脚本やプロットを用意する必要はなく、単純にA地点からB地点への移動という形でもOK。例えば、海で撮影が決まっていれば、駅のホームや電車移動も撮影するだけで、見ている側は「何かこの人は理由があって海に行くのか?」と考えてくれるからです。
仮に廃墟のような場所では、少しの移動だけで映画的な写りになります。これは簡単に実践できるでしょう。ただし、Hironさんは「プロットや絵コンテを作った方がベターです。準備しておけば、失敗も取りこぼしもなくなる」と説明しています。
技術的なことにも触れ、「映画のカメラというのは、絶対にカメラの水平が保たれています。そのため映画風に撮影しようとすれば、一番気をつけるべきは水平を守ることです」とコメント。さらには映画独特の寄りや引きも効果的。目や足のアップ、ときに場所の情景を伝えるために遠目で撮ることも必要です。
続けて色味の問題。動画の場合はカラーグレーディングが必要であり、最初からイメージを決めておくのが無難です。Hironさんは、過去にニコールキッドマン主演のホラー映画「The Others」を参考にしたこともあるそう。自分の目を頼りにすると失敗しやすく、特に肌の色を再現するのが難しいとのこと。
最後にまとめとして、「レタッチよりもストーリー性が本質」と強調しています。映画風の写真が撮れるよう、撮影前の準備に注力してみてください。
撮影で非常に重要な構図と光。意識することで確実にスキルアップにつながる
最後はニコンイメージングジャパンの公式チャンネルの動画で、プロカメラマンの酒井貴弘さんが解説する「構図と光」です。この2点をマスターすることでより撮影が楽しくなるとのこと。
構図の基本は4つのポイントがあり、下記の通りです。
①日の丸構図
日本の国旗のように中心に被写体を置く構図。被写体を中央に持ってくることでより存在感を強く出せるのが特徴ですが、単調な絵になりやすいので注意が必要。被写体に動いてもらう、印象的な表情にする、光と影を活用するなど、ちょっとした工夫を入れるのが重要です。また、布を使うなど小道具によって動きを出すことで印象的に仕上げることもできます。ちなみにInstagramでのギャラリー表示は正方形にトリミングされるので、日の丸構図での撮影がおすすめです。
②三分割構図
縦に三分割、横に三分割して、交差するところに被写体を配置する方法。構図の王道とも言われ、それだけで違いを出すことができます。横にスペースができることで写真に安定感が生まれ、初心者から一段階レベルが上がった印象になります。
③余白
同じ構図が多いとどうしても単調になるため、余白を大きく取ることでバリエーションが増えます。また、余白が多くなると、情報量も多くなるため、ストーリー性を伝えることができます。背景を見せることで印象を強められるという効果です。さらにテクニックとして、②の三分割構図と掛け合わせることで、より印象的な構図を狙えます。
④アングル
自らが動いてアングルを変える手法。モデルの背景から表情、仕草にフォーカスすることで単調ではない構図ができあがります。また、地面スレスレから撮影することで、普段の景色から違う印象に仕上げることも可能。チルト式のモニターが付属されていれば、寝転ぶ必要もありません。
続けて「光」について。酒井さんいわく「もっとも大事な要素が光」とのこと。光がなければ写真を撮ることはできず、写真と光は切っても切り離せないというわけです。ポイントは下記の3つ。
①順光
・被写体に対し正面にある光源。特徴としては色や形をはっきり出すことが可能ですが、影ができないため、フラットに映り、立体感を出すのが難しいです。また、晴天のときは露出のコントロールが難しくなり、顔が暗くなることも。対策としては、モデルに手をかざしてもらって表情への直射日光を遮るのも一つのテクニック。また、影の形を工夫すると表現も広がります。瞳だけに直射日光を当てることで、瞳を輝かせるという効果があります。どうしても順光撮影はフラットになりがちなので、モデルの手や木漏れ日、レースの布を使うなどしてアクセントを加えるのがベターです。
②サイド光
・被写体に対し横にある光源。写真に明暗をつけ、立体感や質感を生み出しやすいのが特徴です。順光写真との作例を比較すると、服や肌の質感を表現しやすくなります。同じ場所でも光の当て方を左右逆にして撮影するだけで印象が大きく変化。特に女性の場合、髪の質感を出せるのでおすすめの撮り方です。ただし、影の形が結構変わりやすいので、被写体に合わせて光を探すのがポイント。
③逆光
・被写体に対し後ろにある光源。幻想的な雰囲気を表現できますが、光が強すぎると露出オーバーになるので注意が必要です。レンズに直射日光を入れずに撮影すると、髪に光が透けて非常に雰囲気のある写真となります。また、あえてレンズに光を入れることで、より柔らかい印象を表現。斜め上から光をあて、角度をつけることで表情に立体感を出すことも可能です。モデルの顔の明るさを見ながら露出を調整することがキモとなります。ポートレートは表情が大切なので、カメラに直接入ってくる光の量をコントロールするのが重要。雰囲気が大きく変わるのでおすすめの撮影方法です。
以上5つの動画、いかがでしたか? 非常に参考になる考え方、テクニックが詰まっていたと思います。少しの違いが大きな差を生む。皆さんもそうしたことを意識して、ポートレートを楽しんでください。
また、別記事では「ポートレートにおすすめのカメラ&機材がわかる動画5選。レンズや100均グッズも」「スマホカメラのポートレート撮影が上達する動画5選。テク、アプリ、レタッチを解説」も紹介しています。