連載 目指すは写真展入賞!師匠は“YouTube” Vol. 1「技術が高いから入賞したのではなく、入賞したから技術が高いんだ!」作戦
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「YouTubeを見るだけで、本当に結果を出すことができるのか?」という疑問を解決するため、本気で写真展の入賞を目指そうという企画が立ち上がった。挑戦するのは、スワンパー編集部の沼田。果たして無謀なチャレンジで終わってしまうのか? 連載形式でお届けしていく。
ホリエモンも唱えた下積み修行不要説。
サイトの価値を証明すべく挑戦を決意
カメラ好きの沼人(ヌマンチュ)にとっての目標やゴールを考えたとき、真っ先に思いついたのが写真展での入賞でした。
もちろん人知れず写真を撮って、個人だけでコレクションしているのも楽しい。だけど、どんな趣味でもゴールを定めた方がワクワクしますし、結果的にスキルも上がるはずです。
はからずも当サイトは、カメラ・写真撮影のYouTube動画のキュレーションサイトであり、技術から機材、撮影に臨むメンタルまであらゆる教えが詰まっています。すでにその本数は900本近くで、まさにカメラ・写真の“広辞苑”。これを生かさない手はありません。
果たして、YouTube動画を参考にするだけで賞が獲れるのか?
そんな疑問を解決というか、挑戦をしたくなりましたし、もし仮に何らかの結果を残すことができれば、多くの人に希望を与えられるかもしれない(&当サイトの価値を証明できる!)。
過去にホリエモンこと堀江貴文さんが「寿司の修行はYouTubeでできる」と発言され、物議を醸したことがあります。いわゆる“飯炊き3年、握り8年”など丁稚奉公のような時間がかかる修行を否定され、すぐに実践に取り組み、最短でトップレベルを目指せというメッセージでした。実際、料理界にはそうした修行を経験せず、すでに有名になられている方もいらっしゃいます(もちろん裏側には並々ならぬ努力もあったでしょう)。
自分のスキルを上げることができ、かつ沼人たちに希望を与えられ、さらにウェブサイトのPRに貢献できるとあれば、チャレンジしない理由はありません。「サイトを周知する絶好の機会!」と半ば強引に社内稟議を通しつつ、無謀な挑戦をさせてもらうこととなりました。
技術に関しては、ほぼ素人同然。
単なるカメラ好きが挑む無謀な挑戦
まずは当方スワンパー編集部・沼田の自己紹介をします。これまで写真との関わりでいえば、高校生のときに人材不足で悩む写真部顧問から「このままでは廃部になってしまう。名前を貸すだけでいいから入ってくれないか?」と言われ、なんとなく入部。30年近く前のことですので、当時はフィルムカメラであり、印画紙(フィルムを焼き付ける紙)や酢酸など現像に必要な薬剤・機材はそれなりに高く、高校生のお小遣いでは到底賄えるものではありませんでした。当然、部員であれば、それらを無料で使うことができるため、軽い気持ちで現像方法を習得。ただ、撮った写真を現像できるということが目的だったので、構図などの技術的なスキルをまったく学ぶことなく卒業しました。現像だけ覚えて終了という形です。
大学に入ると、CONTAXのカメラ&レンズを購入し、身の回りの好きなものだけを撮るカメラ男子になりましたが、これもまた単に撮影が目的だったため、技術を学ぶことはありませんでした。当時はHIROMIXさん、長島有里枝さん、蜷川美花さんの3人が木村伊兵衛賞を同時受賞した華々しい時代。懐かしいなぁ。ファッション誌も全盛でしたし、カメラマンがカッコいい時代でもありました。
大学卒業後は出版社に就職したため、プロカメラマンの仕事ぶりを真横で見ていたということはありますが、特に自身で本気でやろうという気概はなし。また、近年は海外に移住し、写真が必要な仕事に就いていたため、比較的プロユースに耐えうるGR2は持っていました。GRといえば、我々の世代的には大巨匠・森山大道さんのイメージであり、当然森山さんにも憧れていました(恐れ多いですけど)。そして日本に帰国し、当サイトを任されたという経緯があります。サイト自体を知名度を上げたいという思いもあり、この企画に燃えています。
技術がなくても入賞することもある⁉︎
とにかく最短ルートで結果を残したい!
今さら説明する必要もありませんが、YouTubeの世界は、これまで決して出会うことができなかった方たちや識者の膨大な知恵が詰まっており、しかもそれが無料で見られるという素晴らしいサービスです。あらゆる専門家が惜しげもなく知見を披露しており、誰でも見よう見まねで模倣することができます。
とはいえ、そんな簡単に、短期で技術うんぬんが上がるとは思っていません。前述した通り、私の周囲には、長年第一線で活躍されているプロのカメラマンもおりますし、彼らの歩んできた道のりが決して平坦ではないことも重々承知しています。
だからこそ、今回目指すゴールは「賞を獲得する」という1点のみ。一見矛盾した言い方ですが、写真の技術が高くなくても賞を獲ることだけは可能かもしれない。世の中の写真展の受賞者全員が技術が高いから賞を獲った、というわけでもないと思うのです。たまたま選考のポイントにハマったということもあったはず。抜け道的でもなんでもいいから賞を獲りたい。よく世間で言われる「強いから勝つではなく、勝ったから強いんだ!」という理論。ずばり今回の作戦名は「技術が高いから入賞したのではなく、入賞したから技術が高いんだ!」です。
技術よりも結果重視。邪道かもしれませんが、とにかく短期で結果を出す。技術は後から付いてくる! 人生の勝負時が来たら待ったなしだ‼︎
1本目の動画から励まされる。
大きな勇気をいただきました
ただ、いざどこから手をつけていいのかわからないというのも事実。そもそもどんな写真展に応募すればいいのか? どうやって応募する? どんな作品が入賞しやすい? といった基本的なこともわからなければ、単なる無謀な挑戦。可能な限り調べ尽くし、入賞への可能性を高めていきます。
まずは応募する写真展を決めなくてはなりません。とりあえず半信半疑でYouTubeで「写真展、応募」と検索すると、さっそくそれっぽいのが出てきました。2位に表示されている「フォトコンで小遣い稼ぎしよう!」というずいぶんとギラついたサムネ。実際のタイトルは「登竜門を使ってフォトコンテストに応募しよう!」というもので、Photographerくろのさんによる動画です。再生してみると、くろのさんが実際に受賞した経験談を中心に教えてくれているようですが、冒頭に言及していたのが「いいカメラで撮ったものが入賞しているわけではなく、スマホで撮影したものでも最優秀賞を獲れる」という心強いコメント。ありがとうございます。大きな勇気をいただきました!
くろのさんによると、ウェブサイト「登竜門」では、現在募集中のコンテストが掲載されているという。実際にアクセスしてみるとめちゃくちゃわかりやすいし、くろのさんの解説通り使いやすい。くろの先生、ありがとうございます!
非常に使いやすいユーザーインターフェイスで、応募締め切りが2日後などもあったり、常時アップデートされているのがわかります。さすがに2日後は短期すぎて無理ですが、どうせ目指すなら高い山の方がいいに決まっているし、そちらの方が燃えてきます。無知こそ武器!
目指すなら高い目標の方がいい。
「酒田市土門拳文化賞」に決める
動画内でくろのさんは地元のコンテストで入選されたと言っていましたが、想像以上に小規模の写真展が開催されていたのには驚きました。市や町の観光協会主催なども募集もあり、しばらくスクロールしていくと思わず手を止めました。目に入ってきたのは「第28回 酒田市土門拳文化賞」というもの。
私もカメラ好きの端くれですので、土門さんのお名前は存じておりますし、土門さんの写真展に応募できればこれ以上光栄なことはありません。募集要項に目を通すとアマチュアも応募できるというから一気にテンションも上がります。
これしかない!
締め切りは5月13日なので、3週間近く時間があります。これならなんとか撮影にも間に合いそうですし、準備も可能なはず。ということで、最初の写真展はこちらに決定しました。
ということで、受賞するためのノウハウをゲットしなければなりません。もちろん連載タイトルの通り、師匠はYouTubeです。いくつかの動画をチェックすると「フォトコンテスト必勝!」というキーワードが出てきたので、早速チェックしてみます。
写真家の四方伸季さんによる解説動画。どうやらポイントとなるのは、①写真力、②プリント力、③アピール力とのこと。
①についてはセレクトも大事であり、②と重複しますが、予めプリントしたものを選ぶ必要があるとのこと。ふむふむ、どうやら指定のエプソンのソフトを使うとサムネイルも簡単に出せます……って完全に案件やないか! 思えば、チャンネル自体がエプソンさんなので何もおかしなことは言っていないわけですが、せっかくプロが解説されているのでしばらく鑑賞します。四方さんいわく、「競合がひしめくなかでは、突破力が必要。感動が伝わりやすいものを選んでいく」とのことですので、そうした観点からもチョイスしていこうと思います。
とにかく先人から学ぶことが重要。
目を鍛えるためのポイントとは?
どうも(案件)動画1本だけでは不安だったので、ほかの動画も検索。「フォトコンに入賞するためにやったこと」というものが目に入りました。
こちらの動画はかなり具体的であり、ポイントを3つに分けて紹介。①基礎の徹底、②レタッチ、③目を鍛えるというテーマで、過去にフォトコン受賞歴のある投稿者が詳細を語っています。
①は構図の問題が重要であり、②は彩度の上げすぎなど“やりすぎ注意”、③が一番重要であり、「ただ無策にバットを振ってもダメ。写真も同じ。スポーツに戦略が必要なように、写真をどう切り取れば相手に伝わるかを知る必要があります」と投稿者は語ります。
その上で、目を鍛えるには、下記のポイントに注目するといいとのアドバイス。
・自分の方向性と近い写真家を探す
・自分の写真と好きな写真家の作品は、何が違うのかを比較する
・分析は要素を分解する必要がある。主題、副題、構図、撮り方などを分解
・初心者が上手いと思う写真とプロが上手いと思う写真は違う。そのため、大きなフォトコンテストで入賞、実績のある方を写真を見つけるのがよい
・写真家の本や作品集を見る
とにかく先人から学べ、というメッセージをいただきました。となると、今回のフォトコンテストにおいては、やはり土門さんを学ぶことが一番の近道のはず。当然、土門さんのテイストに近いものも賞を獲得されているというのは予測されることだと思いますので。
ということで、次回は「改めて土門拳さんを学ぶ」をお伝えしたいと思います。
近日公開、お楽しみに!
Vol. 2 土門拳さんを学ぶ。鬼と仏の思いを垣間見る